「プロ和裁士を育てる。」
私自身が職人ですから、やりがいや大変さはよく知っています。
一人ひとり、技術や能力が違う。
それを見極めてステップアップさせることが大切だと考えています。それにはマンツーマンでその人と向き合い、持っているものを認めていくことがポイント。
100人いる全員その一人ひとりの作品全部に私が目を通します。これくらいの気概がないと、人は育たないと思っています。
☆プロの厳しさを知る
大切なのは、自分の作品に対する責任感を育てること。プロの世界では一人前でないと通用しません。
「さすがプロだな、素晴らしいな」と認めてられてはじめてお金をもらえます。
それはどんな世界でも同じこと。
その中で、人間的成長も生まれてくるのです。
☆一芸に秀でることの素晴らしさ
ひとつのことをやり遂げることで、習得していく知恵というものがあります。
それは、本を読んだだけではわからない。実践の中で体得していくものです。
一流の技術を目指す中で、成長してほしい。そして、ひとつのことができるなら何でもできると自信を持ってほしい。「これしかできない」ではなく、「これができる」と自信を持てば、それば次に何かをやるときにも生かされる。一芸に秀でるというのは、素晴らしいことです。
☆着物を生かす、それは命を受け継ぐこと
技術さえ持っていれば、一枚の布をあらゆることに活用できます。お弁当袋を作ることだってできるし、辻村では染物も習うから、アイディア次第でのれんなどにもできる。それをちょっとしたプレゼントにすれば、コミュニケーションも生まれます。
それは自分の大きな武器となるでしょう。着物だって、継ぎ足して作り直したり、古くなった電気スタンドの傘にしたり、小物にしてもいい。
これが命を受け継ぐということ。今の人は、古いものを汚いと思うかもしれませんが、そうではありません。古いものを使い切るというは、物の命を大切にするということなのです。
プロ和裁士を育てます
辻村 宜孝
●専修学校辻村和服専門学校 設置者
(令和4年春 瑞宝双光章 受章)